『龍が如く』シリーズにおける芸能人起用の歴史は、日本のゲーム産業におけるグラフィック技術とキャスティング思想の進化そのものです。2005年に発売された記念すべき初代『龍が如く』では、渡哲也氏(風間新太郎役)や三原じゅん子氏といった重鎮が声優として参加し、従来のゲームの枠組みを打ち破る重厚な任侠劇を世に提示しました。当時の制作発表会見において、総合監督を務めた名越稔洋氏が「大人が心から満足できる本物のドラマを作りたい」と語った通り、映画界の息吹を吹き込む試みが出発点でした。
転換点となったのは、2008年発売のスピンオフ作品『龍が如く 見参!』です。本作において、松田翔太氏(佐々木小次郎役)や竹中直人氏、松方弘樹氏らの本人の顔立ちをCGデータ化してキャラクターに反映する手法が本格導入されました。さらに『龍が如く3』(2009年)では、藤原竜也氏(島袋力也役)や中村獅童氏(峯義孝役)の3Dフェイススキャンが行われ、「俳優本人がゲーム世界で激突する」という圧倒的なリアリズムが確立されたのです。
この龍が如く フェイスキャプチャー モデルの技術革新は、PS3時代からPS4、そしてPS5へと世代を重ねるごとに飛躍的な進化を遂げました。表情の微細な筋肉の動きや眼球の光彩、毛穴の質感に至るまでを数十台の高精度カメラで立体スキャンする体制が整い、単なる「声のあて名」ではなく、名優の演技プランそのものをポリゴンデータへと昇華させる独自の制作パイプラインが完成しました。