鹿児島県南九州市頴娃(えい)町の海岸線に位置するこの神社の正式名称は、射楯兵主神社(いたてつわものぬしじんじゃ)です。地元では古くから親しみを込めて「釜蓋神社(かまふたじんじゃ)」と呼ばれてきました。
祀られている主祭神は、素戔嗚尊(スサノオノミコト)。武勇に優れた荒ぶる神であり、厄除けや武運長久の象徴として崇敬を集めています。さらに農業や商売繁盛を司る宇迦之御魂神(ウカノミタマノミコト)も合祀されており、勝負事に限らず幅広い開運の御利益が伝えられてきました。
頭にフタを乗せる独特の風習の原点は、神話時代や戦乱期の伝承に遡ります。伝承によると、大和の地で天智天皇を迎えるために大きな釜で飯を炊いていた際、突如吹き荒れた突風によって釜の巨大な木蓋が空高く巻き上げられました。そのフタが風に乗って遥か南のこの岬へ落下したことから、土地の人々がフタを拾い上げて神霊として崇めたのが神社の創始とされています。
また、近代においては出征兵士の家族が「敵の弾が当たらないように」「無事に帰還できるように」と、鉄兜(ヘルメット)に見立てて釜のフタを頭に乗せ、戦勝と無事息災を祈願した歴史があります。身代わりや防具としての信仰が、現代における「あらゆる災厄を撥ね除け、目標を達成する勝負運」へと昇華していった経緯が見て取れます。