運ばれてきた「上ロースカツ」を目の前にした瞬間、誰もが息をのむ。黄金色に輝く衣のなかに閉じ込められているのは、指の太さを遥かに超える極厚の黒豚肉だ。中心部はかすかに桜色を残した絶妙な火入れ。箸で持ち上げると、ずっしりとした重みが手に伝わってくる。
一般的なとんかつ店では見られないこの肉の厚みこそ、精肉店直営だからこそ実現できる芸芸たる技だ。脂身と赤身のバランスを極限まで見極め、部位ごとの個性を最大限に活かすカッティング。衣を薄く纏わせ、高温の油で一気に表面を閉じ込めた後に余熱でじっくりと芯まで熱を通す。この仕込みと揚げのプロセスに妥協はない。