「路肩と路側帯の違い」を正確に説明できるドライバーは、ベテランであっても決して多くありません。両者が混同される最大の理由は、どちらも「道路の端にある帯状のスペース」を指しているからにほかなりません。しかし、これら2つの言葉は定義されている法律そのものが異なるという決定的な特徴を持っています。
まず「路肩」を定めているのは、国土交通省が所管し、道路を造る際の物理的・土木的な設計基準を定めた道路構造令(第2条第12号)です。同法令において路肩とは、「道路の主要構造部を保護し、又は車道の効用を保つために、車道、歩道、自転車道又は自転車歩行者道に接続して設けられる帯状の道路の部分」と規定されています。つまり、アスファルトの舗装が端から崩れるのを防いだり、故障車が緊急退避したり、運転時の視覚的なゆとり(側方余裕幅)を確保したりするための「道路インフラ上の構造物」なのです。そのため、歩道がある一般道にも、歩道がない道路にも、さらには高速道路にも「路肩」は存在します。
一方、「路側帯」を定めているのは、警察庁が所管し、道路の上をどのように人や車が移動すべきかを定めた道路交通法(第2条第1項第3号の4)です。同法では「歩行者の通行の用に供し、又は車道の効用を保つため、歩道の設けられていない道路又は道路の歩道の設けられていない側の路端寄りに設けられた帯状の道路の部分で、道路標示によつて区画されたもの」と定義されています。
ここに最大の識別ポイントがあります。路側帯は「歩道がない道路(または歩道がない側)」にしか存在しないという鉄則です。住宅街や古い商店街など、物理的に一段高くなった歩道(縁石やガードレールで区切られた歩道)を造れない道路において、車道と歩行者のスペースを白線(道路標示)1本または2本で区切った場所こそが「路側帯」なのです。したがって、同じ道路の端にあるスペースでも、道路建設・管理の視点から見れば「路肩」の一部であり、歩道がない場所で交通ルールの白線が引かれていれば「路側帯」として機能するという二重構造になっています。