芦原作品の最大の魅力は、登場人物の抱える葛藤や孤独、生きづらさに寄り添うリアリティにあります。
『砂時計』――過酷な運命と再生を描いた大ヒット作
2003年から『Betsucomi』で連載された『砂時計』は、島根県と東京を舞台に、両親の離婚や母の自死という過酷な境遇を背負った主人公・杏の成長と恋愛を10年以上にわたり描いた長編です。TBS系愛の劇場での昼ドラマ化や松下奈緒・夏帆主演での実写映画化などメディアミックスも大成功を収め、芦原妃名子の名を全国区に押し上げました。
『Piece』『Bread&Butter』――人間関係の陰影と大人の再出発
高校時代の同級生の死の真相を辿るヒューマンサスペンス『Piece』では、人間の多面性と心の闇を浮き彫りにし、2度目となる小学館漫画賞を受賞しました。続く『Bread&Butter』では、人生の踊り場に立つアラサー・アラフォー女性の再起をパンと文筆業を通じて温かく描き、幅広い支持を集めました。
『セクシー田中さん』――自己肯定感とエンパワーメントの物語
2017年より『姉系プチコミック』で連載された『セクシー田中さん』は、地味で真面目なアラフォーOL・田中京子が、夜はベリーダンサーとして輝く姿を描いた意欲作です。「他人の目を気にせず、自分の生きたいように生きる」というテーマは、年齢や容姿に悩む多くの読者に強い勇気と共感を与え、第9回ananマンガ大賞大賞を受賞するなど高い評価を得ていました。