なぜ「コーンフレーク」は、目の肥えた審査員と熱狂的なお笑いファンの双方を完全に納得させることができたのでしょうか。その理由は、漫才の基本構造を極限まで純化させた「発明」とも呼べるフォーマットにありました。
第一に、誰もが知っている日常的な題材を扱いながら、偏見と共感を絶妙なバランスで織り交ぜた点です。「腕組んでる虎」「栄養バランスの五角形」といった具体的かつ秀逸なワードセンスが、観客の脳裏に瞬時に共通イメージを結ばせました。
第二に、ボケとツッコミの役割が破綻なく循環するスピード感です。オカンが忘れた朝ごはんの特徴を提示し、肯定しては即座に否定する。この極めてシンプルな往復構造の中に、内海の完璧な声量と間の取り方、駒場の無駄のない表情管理が組み合わさり、ネタ尺4分間の中で失速する瞬間が1秒もありませんでした。
ネット上でも放送直後から「史上最高傑作のネタ」「漫才の教科書」と絶賛の嵐が巻き起こり、SNSでは翌朝のスーパーからコーンフレークが消える社会現象へと発展。2019年大会が「歴代屈指の神回」と称される最大の原動力となりました。