日本の四川料理界を牽引してきた名店や、中国・四川省の現地ではどちらが使われているのでしょうか。四川料理の礎を築いた故・陳建民氏、そして「中華の鉄人」として知られる陳建一氏の伝統的なレシピを紐解くと、基本として指定されているのは「木綿豆腐」です。
四川麻婆豆腐の神髄は、花椒(ホアジャオ)の痺れる辛さと豆板醤・豆チ(トウチ)の深いコクにあります。このパンチの効いた餡に対抗するには、豆腐自体にしっかりとした大豆のコクと力強いテクスチャーが求められます。現地成都の老舗「陳麻婆豆腐」でも、水分が抜けて引き締まった豆腐が使われており、スパイシーなタレをしっかり絡めて食べるスタイルが基本です。
ただし、近年では滑らかな喉越しを好む日本の食文化に合わせて、あえて絹ごし豆腐を使い、卓越した火入れ技術で崩さずに提供する専門店も増えています。名店の味を再現したいなら、まずは木綿豆腐でベースを極めるのが近道です。