初夏の風が吹き抜ける南青山の路地裏。その一角にあるギャラリーは、異様な熱気に包まれていた。告知は最小限だった。にもかかわらず、初日から多くの業界関係者が詰めかけた。お目当ては、園山真希絵氏が手がけた『再生』と題された抽象画だ。
絵の具が幾重にも塗り重ねられたその作品は、深い群青色をベースに、中央に引き裂かれたような鮮烈な赤のラインが走る。一見するとモダンなインテリアアートだ。しかし、事情を知る者が凝視すれば、そこには言葉にならない葛藤と、かつての「あの事件」の残像が浮かび上がってくる。鑑賞者の一人は「まるで、当時のメディアの暴走と、その中で引き裂かれた個人の感情がそのまま絵の具の凹凸になっているようだ」と語った。