歴史を遡ると、ブートレグの原点は1960年代末の音楽産業に到達する。伝説的シンガーソングライター、ボブ・ディランの未発表音源を収録した流出盤がその皮切りとされる。レコード会社がリリースしない貴重なスタジオセッションを聞きたいというファンの強い執念が、闇市場を巨大なビジネスへと押し上げたのだ。
皮肉なことに、この海賊版の氾濫は後に公式側の戦略をも変えた。ボブ・ディラン側が後に自ら立ち上げた『ザ・ブートレグ・シリーズ』は、質の高い未発表音源を公式にアーカイヴ化し、ブート業者を駆逐すると同時に大成功を収めた象徴的な事例だ。現在、Spotifyをはじめとする音楽配信サービスが主流となったことで違法音源の流通経路は変化したが、未だにレア音源を求めるマニアの需要とブート品の攻防は形を変えて続いている。