冤罪をめぐる法的判断の潮目は、近年の裁判例によって変化を見せつつある。かつて最高裁判所は被害者の証言を極めて重視する傾向にあったが、微物鑑定技術の向上や状況証拠の厳密な精査により、証言の変遷や不自然さを突いて無罪判決を勝ち取るケースが増加した。弘中惇一郎弁護士をはじめとする敏腕な弁護団による徹底した現場検証と証拠開示請求は、捜査機関の杜撰な立証構造を次々と暴き出してきた。
一方で、警視庁などの捜査現場においては、いまだに初動捜査での「当事者の言い分に対する先入観」が根強く残っているのも事実だ。通報を受けた警察官は、現場の混乱を早期に収束させようとするあまり、訴え出た側の証言を優先して疑いのかかった者を直ちに被疑者として扱う場面が少なくない。客観的な防犯カメラ映像や客装の接触痕跡が確認されないまま手続が進む危険性は、現在も排除されていないのだ。