桐島洋子さんの経歴を語る上で欠かせないのが、文藝春秋の記者を経てフリーランスとなり、未婚のまま3人の子どもを出産・育成したという規格外の生き方です。まだ未婚の母に対する社会の偏見が根強かった1960年代、彼女は自らの意志で子どもたちを産み育てる決断を下しました。
その壮絶かつ誇り高い日々の記録が、1970年に発表された自伝的ノンフィクション『渚と澪と舵』です。タイトルの「渚」「澪」「舵」は、それぞれ長女・かれんさん、次女・ノエルさん、長男・ローランドさんを象徴しており、困難な状況下でもユーモアと気品を失わずに人生を切り拓く母子の姿が生々しく描かれています。
単身アメリカに渡り、ベトナム戦争下の現地取材を敢行するなど、ジャーナリストとしての実績を積み上げながら家庭を守り抜いた彼女のバイタリティは、当時の日本社会に強烈なインパクトを与えました。