馬の体温測定は、脇の下や口内ではなく肛門から挿入して測る直腸温が国際的なゴールドスタンダードです。直腸内の粘膜温度を測ることで、外気温の影響を受けにくい正確な深部体温を把握できます。
ただし、馬の背後からのアプローチは蹴られるリスク(後肢による後方蹴り)を伴うため、正しい手順と安全管理の徹底が求められます。
【安全な検温のステップ】
1. 安全な立ち位置を確保する:
馬の真後ろに立つのは絶対に避けてください。馬の左側(または右側)の腰骨の横、臀部に密着するような位置に立ち、馬の体表に優しく触れながら声をかけて安心させます。
2. 尾を優しく持ち上げる:
尾の根元を持ち、横にゆっくりとずらして肛門を露出させます。急な動きで馬を驚かせないよう配慮します。
3. 体温計を直腸壁に沿わせて挿入する:
潤滑剤(ワセリンなど)を塗布した体温計のセンサー先端を、肛門から約5〜7cmほど滑り込ませます。このとき、糞便の中に差し込むのではなく、直腸の内壁に先端を軽く当てるように意識すると正確な温度が測れます。
4. 計測完了まで確実に保持する:
測定完了の電子音が鳴るまで静かに保持します。直腸の蠕動運動によって器具が内部に吸い込まれる事故を防ぐため、クリップ付きの紐を尾の毛に留めておくか、手で終始しっかり固定してください。
現在では数十秒で素早く検知できるデジタル式の馬専用体温計が普及しており、暴れやすい若馬でも短時間で安全に検温が完了します。