世界的な最高栄誉であることから、「受章すれば莫大な恩給や免税特権があるのではないか」と想像されがちです。しかし、レジオン・ドヌール勲章の特権と年金の実態は、現代においては極めて象徴的なものにとどまります。
かつてナポレオンの時代には生活を保障するための実質的な年金が支給されていましたが、現代の規定では、軍人受章者の一部を除き民間受章者に対する金銭的支給は実質的に存在しません。形式的に支給される手当も年間で数十ユーロ程度という名目上の額にとどまっており、受章による直接的な経済的見返りは皆無と言えます。
一方で、伝統的な特権として今も維持されているのが「レジオン・ドヌール教育校(メゾン・ドゥデュカシオン)」への入学資格です。受章者の直系の子孫(女子)には、ナポレオンが創設した名門寄宿制公立学校への出願権利が与えられます。また、受章者が死去した際には棺にフランス国旗を掲げる名誉礼が認められるなど、特権の本質は金銭ではなく「国家からの至高のリスペクト」に集約されています。