マンタの生態を語る上で欠かせないのが、魚類トップクラスとされる高い知能と豊かな社会性です。体重に対する脳の重量比率(脳化指数)が軟骨魚類の中で最も高く、鏡に映った自分を認識する「自己鏡映像認知」の能力を持つ可能性が研究で指摘されています。
寿命も非常に長く、自然界ではおよそ40〜50年以上生きると推定されています。一方で繁殖力は極めて低く、性成熟までに10年前後を要し、1年以上の長い妊娠期間を経て産み落とす子どもは一度にわずか1尾(稀に2尾)です。
ダイビング中に最も観察しやすいドラマチックな行動が「クリーニング」です。サンゴ礁の特定の根には、ホンソメワケベラなどの小魚が寄生虫を食べてくれる「クリーニングステーション」が存在します。マンタは決まった場所に日課のように飛来し、ホバリングするように速度を落として小魚に体を掃除させます。
また、プランクトンが濃い水域で見せる「宙返り捕食(バレルロール)」も見応え十分です。頭部にある2本の「頭鰭(とうき)」を上手に広げて海水とプランクトンを口元へ誘導し、縦方向にくるくると連続回転しながら効率よく餌を飲み込む姿は、海中のアクロバットと呼ぶにふさわしい光景です。