「猫の外歩きには、常に命がけの危険が隣り合わせにある」——現場の第一線に立つ獣医師たちは口を揃えてそう指摘する。猫の柔軟な鎖骨構造は、わずかな隙間から身体を引き抜くことを可能にする。犬用の首輪や簡易的な紐では、後ずさりした拍子にあっけなく抜け落ちてしまうのだ。
公益社団法人日本獣医師会が発信する飼育啓発資料でも、室内飼育猫の突発的な屋外脱走事故に対する注意喚起が継続して行われている。パニック状態で街中に逃げ出した猫は、車にはねられる交通事故や感染症への暴露、他の野良猫との激しい縄張り争いなど、過酷な現実に直面する。最先端の獣医療をもってしても、失われた命や重篤なトラウマを完全に元通りにすることはできない。さらに、散歩そのものが極度の恐怖となり、慢性的なストレス障害を引き起こすケースも珍しくない。