マリオオデッセイの音楽が革新的である理由は、楽曲単体のクオリティにとどまりません。ゲームの進行やプレイヤーの操作と連動する「インタラクティブ・ミュージック」の技術が極めて高い次元で実装されている点も見逃せません。
その代表例が、3Dのフィールドから壁画の中に入り込む「2Dドット絵エリア」での音響ギミックです。マリオが土管に入って2D平面のアクションへ移行した瞬間、鳴っていたオーケストラやバンド演奏のBGMが、一瞬の途切れもなくファミコン風の8bit電子音源へシームレスに切り替わります。
この演出は、単に別音源を重ねてクロスフェードさせているだけではなく、テンポや小節の位置、コード進行をミリ秒単位で完全に同期させる高度なプログラムによって実現しています。現代的なリッチサウンドと懐かしいレトロサウンドが滑らかに行き来する心地よさは、任天堂が誇るサウンドエンジニアリングの粋を集めた職人技であり、プレイヤーを一切現実に引き戻さない圧倒的な没入感を生み出しています。