マッスル北村の最期を語る上で欠かせないのが、誰よりも近くで彼を支え続けた実妹の証言です。極度の栄養失調と低血糖により意識が朦朧とする中、妹が「お願いだから飴をなめて、砂糖を摂って!」と必死に懇願した際、彼は弱々しい声でこう拒んだといいます。
「いま飴を1個でも口に入れたら、これまで積み上げてきた僕の減量がすべて水の泡になってしまう」
自らの生命の危機に直面していながらも、ボディビルに対する純粋すぎる情熱と美学を曲げることはありませんでした。さらに、朦朧とする意識の中で最後に家族へ遺した言葉は、自らの苦痛を訴えるものではなく、看病してくれる周囲への「ありがとう、迷惑をかけてごめんね」という深い感謝と気遣いでした。
どれほど肉体が追い詰められようとも、最後まで他者への優しさとアスリートとしての矜持を失わなかった姿勢は、今も多くの人々の涙を誘っています。