広尾駅から少し歩き、賑やかな大通りから一歩奥へと足を踏み入れると、街の喧騒は一瞬にして遠のく。行灯のやわらかな光に導かれた先に佇む格子戸。それこそが、東京のナイトライフにおいて独自の位置を築いてきた空間の入り口だ。
店内の中央にドンと鎮座するのは、一枚板の美しい木製カウンター。席に腰を下ろすと、目の前で繰り広げられる包丁さばきや焼き場の火柱が視界に躍り込む。派手な装飾で飾るのではなく、素材の質感と職人の所作そのものを演出として魅せる空間構成。この計算し尽くされたライブ感こそ、訪れる者を虜にして離さない最大の理由かもしれない。