今回の公演「L'Éveil(覚醒)」は、単なる歌舞伎の海外輸出ではない。フランスの鬼才演出家とタッグを組み、伝統的な三味線の音色と電子音楽が交錯する空間で、七之助が舞う。言葉の壁を越え、肉体だけで感情を伝える。それは、彼が長年温めてきたアイデアだった。「歌舞伎は生きている演劇だ」という信念が、このアヴァンギャルドな舞台を生み出したのだ。
稽古場からのリーク情報によると、演出は極めてミニマル。豪華絢爛な衣装をあえて削ぎ落とし、肉体のラインと表情だけで女方の美を表現する場面もあるという。この引き算の美学が、現地フランスの批評家たちの間で早くも議論を呼んでいる。