読者の間でしばしば検索される「マウント斗羽 死亡」という噂ですが、作中で斗羽が命を落とす凄惨な描写が存在するわけではありません。この噂の発端は、猪狩完至との伝説的な引退試合を終えた後の『グラップラー刃牙外伝』のエピローグにあります。
東京ドームでの激闘を終えた斗羽は、プロレス界から静かに身を引き、ひとりフランス・パリへと旅立ちます。石畳の街並みの中で絵筆を握り、静かに余生を過ごす姿が描かれました。リングの上で巨体を誇った戦士が、戦いから解放されて穏やかな生活を送るラストシーンは、現実のジャイアント馬場氏の逝去に対する板垣恵介氏なりの温かな鎮魂歌(レクイエム)でもありました。
表舞台から姿を消したこと、そして現実世界のジャイアント馬場氏の訃報が重なったことで「作中で死亡した」と記憶が混同されがちですが、物語上の斗羽正平は、プロレスラーとしての生涯を美しく完結させ、第二の人生へと静かに歩みを進めたのです。