奇跡的な回復を遂げて相撲界の現場へ復帰を果たした若嶋津でしたが、協会の規定による定年の足音は確実に近づいていました。激動の時代を経て、部屋の将来を見据えた大きな決断が下されます。
2026年12月、元横綱・稀勢の里(当時・荒磯親方)へ名門「二所ノ関」の年寄名跡と部屋を正式に継承することが発表されました。これにより、若嶋津は「荒磯親方」へと名跡を変更し、自身が育ててきた部屋の看板と未来を後進へと託しました。
そして2026年1月12日、満65歳の誕生日をもって日本相撲協会を正式に定年退職。相撲協会の再雇用制度を利用して残る道もありましたが、自身の体調と家族との時間を熟慮し、角界から完全に退く道を選びました。
引退以来、30年以上にわたり弟子たちの母親代わりとして部屋を切り盛りしてきた高田みづえさんも、同時に女将さんとしての重責に終止符を打ちました。勝負の世界で神経をすり減らし続けた長い年月を経て、夫婦はようやく自分たちだけの穏やかな時間を取り戻すこととなったのです。