2012年、77歳にしてNHK紅白歌合戦に初出場を果たし、無伴奏で歌い上げた『ヨイトマケの唄』は、テレビの歴史に残る伝説的な名場面として今も記憶に新しい。黒髪に質素な衣装で労働者の尊厳を叫ぶその姿は、きらびやかなビジュアルの奥にある人間愛の深さを全国民に見せつけた。
近年では、過去の名作舞台や出演映画、ドキュメンタリーがNetflixやAmazon Prime Videoなどの動画配信サービスを通じてグローバルに配信され、昭和のカルチャーに親しみのないZ世代の間でも再発見が進んでいる。彼らにとって美輪明宏は、古い時代の偶像ではなく、ジェンダーレスや多様性の先駆者であり、過酷な現実をしなやかに生き抜くための人生の師父として映っている。