日本列島を直撃した令和6年台風第10号の挙動は、気象関係者を驚愕させた。東シナ海から九州に接近した後、進路を東へと急変させ、さらには減速して各地に集中豪雨を降らせ続けた。風速の破壊力もさることながら、最大の問題は極端な大気の状態が生み出した線状降水帯の発生リスクである。
湿った暖かな空気が山地に衝突し、連続的に積乱雲が発生。同じ地域に何時間も猛烈な雨を降らせ続ける気象現象は、河川の氾濫や土石流を同時多発させた。陸上に上がってもなお衰えにくい構造を保持したこの事例は、「台風本体が遠くにあっても猛烈な豪雨に見舞われる」という現実を突きつけた。進路予想図の中心線だけを注視する危険性を、強烈な教訓として残したと言える。