「冷房を28度に設定しているのに部屋が蒸し暑い」と感じるのには、明確な構造的理由があります。最大の盲点は、環境省の室温28度の誤解にあります。2005年に始まったクールビズ運動で提唱された「28度」は、エアコンのリモコンに表示される設定温度ではなく、あくまで「人間が過ごす室内の実温度(室温)」を指しています。
エアコン本体の温度センサーは天井付近に設置されているケースが多く、熱気が溜まりやすい高所と人間が活動する床付近では数度の温度差が生じます。さらに、窓から差し込む直射日光や壁面からの輻射熱、家電製品の発熱が加わることで、リモコンを28度に設定していても実際の室温は29〜30度近くまで上昇しているケースが珍しくありません。これが、まさに冷房28度が暑い理由です。
一般的にエアコン設定温度1度の電気代変化は約10%とされています。しかし、暑さを我慢して熱中症を発症してしまっては元も子もありません。我慢の限界を迎えて急激に設定温度を20度近くまで下げるような極端な操作を行うと、コンプレッサーに過大な負荷がかかり、かえって電力を激しく消費します。最初から適切な温度で安定稼働させることが結果的な省エネにつながります。