これから古屋兎丸の迷宮へ足を踏み入れようとする読者は、どこから読み始めるべきだろうか。入り口は幾通りも用意されている。
重厚な学園権力劇とハイテンションな人間ドラマを味わいたいなら『帝一の國』が最適だ。テンポの良い展開とキャラクターの濃さに一気に引き込まれるはずだ。一方、耽美でダークな世界観に溺れたいのであれば、迷わず『ライチ☆光クラブ』を手に取ってほしい。少年の無垢と残酷さが織りなす悲劇は、読者の心に強烈な刻印を残す。
人間の心理の暗部を覗き見たいなら『女子高生に殺されたい』や『人間失格』がおすすめだ。淡々と積み上げられる狂気のロジックに、背筋が凍るような快感を覚えるだろう。どの作品から手に取ったとしても、最後にはすべての著作を書棚に揃えたくなる。それこそが、鬼才・古屋兎丸が仕掛けた甘美な罠なのだ。 (出典: 古屋 兎 丸 書籍(Yahoo!ニュース))