テレビアニメ『遊郭編』第6話から第7話にかけて描かれた禰豆子の鬼化覚醒シーンは、世界中の視聴者に鮮烈な衝撃を与えました。上弦の陸・堕姫の容赦ない攻撃によって炭治郎が倒れ伏した瞬間、怒りを爆発させた禰豆子は封印していた鬼の本能を解き放ちます。
その際に見せた禰豆子の鬼化進行時の姿は、普段の愛らしい少女像を完全に脱ぎ去ったものでした。額からは一本の鋭い角が生え伸び、全身の皮膚には妖艶な柳の葉のような葉紋が浮き彫りになり、肉体は成人女性のプロポーションへと急激に急成長を遂げます。この禰豆子の完全体への形態変化は、肉体的な美しさと怪異としての底知れぬ恐怖が同居した圧巻のビジュアルでした。
特筆すべきは、上弦の鬼を文字通り子供扱いするほどの圧倒的な戦闘能力です。堕姫の帯攻撃で四肢を寸断されようとも、断面から吹き出す血を即座に硬化・凝固させ、一瞬で肉体を接合・再生するスピードは上弦の上位すら凌駕していました。しかし、その強大な力と引き換えに、彼女の自我は極限まで摩耗していました。
傷口から血を流す遊郭の一般人を前にした際、喉を鳴らして喰らいつこうとした瞬間は、作中屈指の緊迫した局面です。その暴走を押しとどめたのは、炭治郎が身を挺して咥えさせた日輪刀の鞘と、必死に歌い聞かせた亡き母の子守唄でした。深層心理の底で家族のぬくもりを思い出した禰豆子は、幼子のように涙を流しながら眠りに落ち、凶悪な完全体から元の無垢な姿へと戻ったのです。どれほど鬼化が進行しようとも、家族との情愛の記憶が最後の防壁として機能することを示した名場面でした。