テレビドラマの歴史において、主題歌と作品本編がこれほど完璧な調和を見せた事例は極めて稀です。米津玄師が手がけた『Lemon』は、単なるタイアップソングの枠を遥かに超え、物語の「第6の登場人物」とも呼ぶべき重密な存在感を放ちました。
演出を手がけた塚原あゆ子監督とプロデューサーの新井順子氏は、劇中において『Lemon』のイントロが流れ出すタイミングをミリ秒単位で緻密に計算。登場人物たちが理不尽な死の真相に直面し、言葉を失う刹那に響く「ウェッ」というサンプリングボイスと静かなピアノの旋律は、視聴者の感情を強烈に揺さぶり、毎回SNS上で「神がかったタイミング」「涙が止まらない」と熱狂的な反響を巻き起こしました。
死と向き合いながらも「絶望している暇があったら、美味いものを食べて寝る」と前を向く主人公・三澄ミコトの凛とした姿と、「今でもあなたはわたしの光」と歌う切なくも力強いメロディ。このコントラストが、単なる陰鬱なサスペンスに留まらない、生きることへの讃歌として作品を昇華させたのです。