一般に混同されやすいグリーンベレーとデルタフォースですが、その設立思想、指揮系統、戦術的アプローチは全く異なります。
グリーンベレーの任務における最大の核は、「不正規戦(UW)」と「外国内部防衛(FID)」です。彼らは単に敵を倒すだけでなく、敵国の反乱勢力や同盟国の軍隊に潜入し、現地民を訓練してゲリラ組織を立ち上げ、自軍に有利な戦況を作り出す「軍事顧問」としての能力が求められます。そのため、高度な戦闘スキルに加えて現地の言語や文化への深い理解、外交交渉力が不可欠となります。
対するデルタフォースの実態は、統合特殊作戦コマンド(JSOC)が直接指揮を執る「Tier 1(最重要機密指定)」部隊です。その主眼は、国家レベルの危機における対テロ直接行動(Direct Action)や要人奪還、高価値目標(HVT)の無力化にあります。長期間現地に潜伏して味方を育てるグリーンベレーとは対照的に、デルタフォースは短時間で目標地点に電撃潜入し、外科手術のような正確さで標的を制圧して即座に離脱します。
組織としての位置づけを比較すると、次のような違いが明確になります。
- 作戦の性格:グリーンベレーは「戦略的育成・中長期戦」、デルタフォースは「電撃急襲・短期決戦」。
- 指揮命令系統:グリーンベレーは地域軍司令官の要請に応じてUSASOC主導で展開する一方、デルタフォースは国家指揮権限(大統領・国防長官)直属のJSOCから指令を受ける。
- 隊員の出身母体:グリーンベレーは陸軍内からの志願者を中心に編成されるが、デルタフォースはグリーンベレーやレンジャー連隊をはじめとする全軍の熟練者からさらに選抜される。