米不足が過熱した際、ネット上では「悪質な転売ヤーが米を倉庫に溜め込んでいる」「フリマアプリでの高額転売が品薄の主因だ」という言説が飛び交いました。しかし、実態調査を進めると、この認識には大きなギャップが存在します。
大手フリマサービス各社が実施した出品規制や転売対策(食品表示法・米トレサ法違反への監視強化)により、ネット転売に流れた絶対量は全国の総流通量の1%未満に過ぎませんでした。真に市場を枯渇させたのは、組織的な転売ヤーではなく、数千万人の一般家庭が「念のため1袋多めに買っておこう」と行動したことによる巨額の需要先食いでした。
行動経済学における「希少性のヒューリスティック(手に入りにくいものほど価値が高く見える心理)」が働き、普段は米を定期購入しない層までもがスーパーへ殺到した結果、サプライチェーン全体の安全在庫が吹き飛んだのです。悪質な転売をスケープゴートにするだけでは見えてこない、集団心理の連鎖こそがパニックの本質でした。