地元通が声を揃えて絶賛するのは、数量限定で提供される極厚の銘柄豚を使ったとんかつだ。看板も控えめな隠れ家的名店では、全国から選りすぐった希少な豚肉が主役を務める。
断面を見れば一目瞭然。ほんのりと桜色を残した肉塊は、3センチを超える厚みがありながら、前歯で抵抗なくスッと噛み切れる。脂身は驚くほど軽やかで、噛むほどに芳醇な甘みが口いっぱいに広がる。ソースをつけず、まずは少量の岩塩と山葵だけで味わう。豚肉が持つ本来のポテンシャルを目の当たりにする瞬間だ。仕入れ数が限られるため、昼過ぎには完売の札が出ることも珍しくない。