元小結・旭豊勝照として土俵上で端正な取り口と甘いマスクでファンを魅了した立浪親方。その親方が全幅の信頼を寄せる女将の素顔は、極めて知的で現実的なマネジメント感覚の持ち主だ。二人が手を取り合って築き上げた部屋の独自ルールは、角界の常識を心地よく裏切るものだった。
「力士である前に、一人の社会人として自立してほしい」。その哲学のもと、徹底した衛生管理、栄養学に基づいたちゃんこメニューの刷新、さらにはプライバシーに配慮した個室空間の確保まで、女将の細やかなアイデアが随所に散りばめられている。激しい稽古で傷ついた力士たちが心底リラックスできる住環境を整えること。これこそが、親方の厳格な技術指導を陰で最大限に機能させる秘訣となった。