1974年、日本の音楽シーンに衝撃が走った。シングル「私は泣いています」のメガヒットである。累計ミリオンセラーを記録したこの名曲は、元々他人に提供する目的で書き下ろされた楽曲だった。しかし、制作過程で彼女自身の低く切ないハスキーボイスで歌うことが決定し、一転して彼女の運命を大きく変えることになる。
作詞・作曲を自らこなすシンガーソングライターとしての才能は、当時の歌謡界でも群を抜いていた。哀愁を帯びたメロディと、痛烈なまでにリアルな愛の情念を描いた歌詞。テレビの画面越しに物憂げな視線を投げかけながら歌う姿は、一瞬にして全国の若者たちの心を打ち砕いた。鮮烈なデビューから駆け抜けたキャリアの全貌は、まさに日本のポップス史そのものである。