楽曲『駅』の歴史を語る上で外せないのが、1986年にリリースされた中森明菜のアルバム『CRIMSON』である。作詞・作曲を手掛けた竹内まりやは、彼女の陰影あるボーカルスタイルを念頭に置き、マイナーコードの切ないメロディを提供した。しかし、完成したアレンジやボーカルアプローチを巡り、竹内の夫でありプロデューサーでもある山下達郎が強い衝動を覚えたことは有名な逸話だ。
山下は「この楽曲の持つドラマ性と主人公の心情を、もっとドラマチックに表現できるはずだ」と考え、自ら解釈したセルフカバーの制作を竹内に提案。こうして1987年に発表された竹内まりやのアルバム『REQUEST』に彼女自身の歌唱版が収録されることとなった。ワーナーミュージック・ジャパンの前身やムーン・レコードの歴史においても、このアルバムは金字塔として輝き続けている。