1976年に発表され、世界的な大ヒットを記録した金字塔『シルク・ディグリーズ』。そこからおよそ12年の歳月を経て届けられたアルバム『アザー・ローズ』において、「ハート・オブ・マイン」は極めて重要な結節点として機能している。70年代の西海岸サウンドを牽引したボズが、長い充電期間を経てどのように自らの音楽をアップデートさせたのかが、このトラックには凝縮されている。
80年代後期のデジタルレコーディング技術を取り入れながらも、根底に流れるグルーヴは決して無機質にならない。『シルク・ディグリーズ』で見せたソウルフルなフィーリングを、よりタイトでコンテンポラリーなプロダクションへと融合させた『アザー・ローズ』の試みは、ボズが時代の変化に迎合することなく、己のシグネチャーを再定義した鮮烈なマニフェストだったと言える。