当時の音楽産業において、ハードロックとポップスの境界線は厳格に引き分けられていた。歪んだギターと高速ソロこそが正義であり、シンセサイザーの全面導入は「商業的な日和り」と受け取られかねないリスクをはらんでいた。所属レーベルのワーナー・レコード内部でも、この路線変更に対する懸念は根深かったという。
だが、その懸念は曲がリリースされた瞬間に吹き飛んだ。豪快なドラムビートとシンセサイザーの融合は、大規模な会場を埋め尽くすアリーナ・ロックの新たな潮流を作り出したのだ。ヴァン・ヘイレンが提示した新機軸は、後続のバンドたちに計り知れない影響を与え、80年代の音楽トレンドそのものを塗り替えてしまった。