この楽曲を語る上で欠かせないのが、シンガーソングライター・川嶋あいの路上ライブ経歴と、原曲となった『旅立ちの日に…』との違いです。
当時、渋谷のハチ公前などで「路上ライブ1000回」「自主制作CD5000枚完売」を目標に掲げて孤軍奮闘していた川嶋あい。彼女が中学の卒業時に制作し、路上で歌い続けて絶大な支持を集めていたのが、卒業ソング『旅立ちの日に…』でした。
I WiSHのデビューに際し、この『旅立ちの日に…』の美しいメロディをベースに、全く新しいアプローチで歌詞を書き直したのが『明日への扉』です。両曲の決定的な違いは、そのテーマと描かれる視点にあります。
『旅立ちの日に…』が、仲間や育ててくれた母への感謝、別れの切なさと旅立ちの決意を歌った叙情詩であるのに対し、『明日への扉』は他者との出会いによって生まれる希望と未来への歩みを歌ったラブソングへと昇華されています。同一のメロディでありながら、異なる歌詞によって全く別の感動を生み出すという試みは、J-POPの歴史においても極めて稀有な制作秘話といえます。