杉浦直樹の魅力は、その彫りの深い表情や身のこなしだけにとどまりませんでした。深く響く落ち着いた低音ボイスは、ナレーションの分野でも極めて高い評価を獲得していました。
ドキュメンタリー番組や教養番組の語り手として起用されると、過度な感情移入を排しながらも、言葉の端々に温かみと説得力を宿らせる卓越したナレーションを披露。視聴者の心に静かに染み入る語り口は、多くの制作関係者から絶大な信頼を寄せられていました。
また、テレビだけでなく舞台公演や朗読劇でもその豊かな声量と表現力を遺憾なく発揮。台詞ひとつひとつの間(ま)を研ぎ澄まし、沈黙すらも雄弁に語らせる技術は、まさに熟練の職人技そのものでした。