小林稔侍の人生を語る上で欠かせないのが、日本映画界の巨星・高倉健との出会いだ。東映の大部屋時代、芽が出ずに悩んでいた小林を弟のように可愛がり、食事を奢り、衣服を与え、役者としての姿勢を背中で教え続けたのが高倉だった。
二人の絆が結実した代表作が、1999年公開の映画『鉄道員(ぽっぽや)』である。過酷な雪国で定年を迎える駅長(高倉)を静かに支える親友・運転士役を熱演した小林は、第23回日本アカデミー賞最優秀男優賞を受賞。授賞式の壇上で見せた涙と感謝の言葉は、二人の深い絆を知る映画ファンの心を激しく揺さぶった。