そもそも1950年代の大映が送り出したオリジナルの時代劇は、日本の映画産業における最盛期を象徴する傑作であった。二刀流の殺陣と華麗な演じ分けで一世を風靡した長谷川一夫と、カンヌやヴェネツィアなど海外の映画祭でも絶賛された大女優・京マチ子。この二大スターの共演は、当時の観客にとって最高の贅沢だった。
文豪・川口松太郎が紡ぐ美しくも哀しいストーリーテリングと、大映が得意とした豪華絢爛なセット撮影が見事に融合。日本映画史において「エンターテインメント性と芸術性の双璧」と称されたこの作品は、後世の時代劇制作にも多大な影響を与え続けている。