安倍の学歴が特異視された最大の要因は、華麗すぎる政治家一族の血統にある。祖父である岸信介元首相、大叔父の佐藤栄作元首相、そして父の安倍晋太郎外相はいずれも東京帝国大学法学部を卒業した超エリートであった。
そうした中で、安倍が私立の成蹊大学を選び続けたことは、当時の永田町の力学から見れば異例のコースだった。日本の政治における伝統的な「東大閥」の官僚主導システムとは距離を置き、民間の自由な空気で育ったことが、結果として大衆の感覚を掴むポピュラリティの獲得に寄与した。
戦後の政治史・人物評伝を研究する専門家の間でも、安倍のキャリアは日本の高等教育と政界リーダーシップの関係性が変容した象徴的な事例として位置づけられている。