モンゴル勢の歴史を語る上で、朝青龍明徳の存在を抜きには語れない。土俵狭しと暴れ回るスピード、相手を圧倒する眼光、勝負への剥き出しの執念。それまでの相撲界の常識を覆す破天荒なスタイルは賛否両論を巻き起こしたが、その圧倒的な実力が大相撲に新たな風を吹き込んだことは紛れもない事実だ。
そして、そのバトンを受け継ぎ、数々の金字塔を打ち立てたのが白鵬翔である。歴代最多となる優勝回数を積み上げ、完璧無比な取り口で平成から令和の土俵を支配した。単なる格闘技としての強さだけでなく、相手の動きを読み切る後の先(ごのせん)の極意。荒々しい旋風から円熟の絶対王者へ。二人の怪物が築いた礎が、現在の隆盛を決定づけた。