フジテレビジョンの看板枠である月9ドラマで大きな波紋を広げたのが、目黒蓮が主演を務めた『海のはじまり』だ。社会現象を巻き起こした『silent』の制作チームが再集結した本作は、主人公がかつての恋人の死をきっかけに、自分自身の存在すら知らなかった幼い娘と向き合っていくヒューマンドラマである。
安易なカタルシスを排した脚本は、登場人物それぞれの葛藤を剥き出しにした。主人公・夏の抱く戸惑い、遺された家族の痛み、そして周囲の人々が抱える割り切れない感情。目黒蓮は抑えた芝居の中に繊細な感情の揺らぎを宿らせ、父親になっていく過程の生々しさを表現しきった。台詞のない長回しのカットで見せる眼差しの演技は、視聴者の胸を締め付け、SNS上でも連日深夜まで議論が交わされる事態となった。