木山裕策「Home」誕生の真相と現在|がん克服から奇跡の歌声へ

木山裕策「Home」誕生の真相と現在|がん克服から奇跡の歌声へ

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木山裕策氏の音楽人生を語る上で避けて通れないのが、36歳の時に突如として突きつけられた甲状腺がんの告知です。当時、木山氏は出版関連企業で営業や企画のデスクワークに追われる一児・二児ならぬ、妻と4人の男児を養う大黒柱でした。日々の生活を支えることに奔走していた最中、左側の首にしこりが見つかり、精密検査の結果、悪性腫瘍であることが判明します。

医師から告げられた治療法は、甲状腺の左半分および周囲のリンパ節を摘出する手術でした。その際、木山氏に重くのしかかったのが「手術時に声帯を司る反回神経を傷つける可能性があり、声が出なくなる、あるいは声質が著しく変わるリスクがある」という宣告でした。当時の特番インタビューや自著・手記において、木山氏は「頭の中が真っ白になり、もし声が出なくなったら家族とどう会話を交わせばいいのか、歌が大好きな自分はどう生きていけばいいのかと恐怖に震えた」と吐露しています。

絶望の淵に立たされた木山氏を支えたのは、病床で見守る妻の献身と、まだ幼い4人の息子たちの笑顔でした。「もし命が助かり、声が残ったなら、自分の生きた証として子どもたちに歌声を残したい。CDという形あるものにして、自分がこの世を去った後も聴けるようにしたい」――。この切実な覚悟が、後の奇跡の引き金となります。手術は無事に成功し、懸念された神経の切断は免れたものの、術後は声帯の麻痺や激しいかすれ声に苦しみました。しかし、過酷なボイストレーニングとリハビリを重ね、約半年をかけて奇跡的に歌声を取り戻したのです。

小林 直樹
著者

小林 直樹

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