「熊野は雨の聖地」と称されることがある。濡れた石畳がしっとりと光り、杉木立の間に立ち込めるモヤは確かに幻想的だ。しかし、安全なトレッキングという観点に立てば、雨への備えを怠るわけにはいかない。
雨で濡れた苔むした石畳は想像以上に滑りやすく、転倒による事故のリスクが高まる。特に中辺路や大辺路といった人気ルートを歩く際は、防水透湿性に優れた本格的なレインジャケットと靴底のグリップが効いたトレッキングシューズが必須だ。雨を単なる障害と捉えるのではなく、万全の装備を整えた上で雨上がりの洗練された空気感を楽しむゆとりこそが、熊野の旅を深いものにしてくれる。