1945年4月16日、沖縄本島北西部に浮かぶ周囲22キロメートル余りの小島・伊江島に米軍が上陸しました。東洋一と称された飛行場を奪取すべく押し寄せる米軍に対し、島を守る守備隊や地元住民による防衛隊は激しい防戦を展開。わずか6日間の組織的戦闘で島は壊滅状態に陥り、米軍側の戦死者・負傷者も膨大な数に上る文字通りの地獄絵図となりました。
木の上の軍隊の実話モデルとなったのは、この凄惨な伊江島における沖縄戦を生き延びた陸軍兵士2名です。激しい艦砲射撃と空爆の中、逃げ場を失った彼らが最終的な避難場所として選んだのが、島内に自生する一本の巨大なガジュマルの樹上でした。繁茂する気根と分厚い葉に覆われた空間は、外からの視線を遮る天然の要塞だったのです。
米軍の掃討作戦が続く中、2人は昼間は枝の間に身を潜めて気配を消し、夜になると食料を求めて地上へ降りる生活を始めました。このとき彼らは、まさかそこから約2年間もの潜伏生活が始まるとは夢にも思っていませんでした。