劇場版を彩るキャスト陣の布陣は、まさに完結編にふさわしい豪華な顔ぶれとなりました。東帝大学病院の新院長として未知子の前に立ちはだかるのは、染谷将太演じる神津比呂人です。先進医療とAIを駆使し、医療を「完全無欠なシステム」として合理化しようとする神津と、現場で泥臭く命と向き合う未知子の信念の対立は、現代社会におけるテクノロジーと人間性の葛藤を鋭く照射しました。
また、なにわ男子の西畑大吾演じる若き研修医・東村練の成長劇も物語の大きな推進力となっています。組織の論理に押しつぶされそうになりながらも、未知子の妥協なきメスさばきを間近で目撃し、医師としての覚悟を目覚めさせていく姿は、視聴者の共感を強く集めました。
そして何より、日本中から惜しまれつつ旅立った西田敏行さん(蛭間重勝役)の最後の出演シーンは、本作の映画史的な価値を決定づけています。長年、未知子とコミカルかつ狡猾な攻防を繰り広げてきた蛭間院長が、病室で見せた一瞬の素顔と未知子へ託した言葉は、役柄を超えた役者同士の魂の対話として語り継がれています。撮影現場の関係者によると、西田さんは体調の制約がありながらも、カメラが回ると圧倒的な存在感とアドリブで現場を牽引し、まさに生涯現役を貫く表現者の凄みを見せつけていたといいます。