難読漢字「勿忘」の読み方は?名曲が隠した本来の意味と誤用の罠

難読漢字「勿忘」の読み方は?名曲が隠した本来の意味と誤用の罠

難読漢字「勿忘」の読み方は?名曲が隠した本来の意味と誤用の罠について詳しく解説いたします。詳細な分析をお届けします。

漢字の組み立てを純粋に国語辞典の音訓に従ってなぞると、「勿」は音読みで「ブツ」「モチ」、訓読みで「なか(れ)」。一方の「忘」は音読みで「ボウ」、訓読みで「わす(れる)」となります。そのため、初見の読者が「ぶつぼう」と読んでしまうのは、言語学的なメカニズムから見れば極めて自然な反応です。また、一部の辞書的解説やネット情報では「物忘れ」の転用や誤読にまつわる言及も見受けられます。

しかし、現在日本で広く定着しているカルチャー的コンテクストにおいて、この2文字は「わすれな」と読まれます。この読みを決定づけたのは、言うまでもなくAwesome City Clubが放った楽曲『勿忘』の爆発的なヒットです。映画の切ないストーリーラインと重なり合うようにして、若年層から大人世代まで一気に「勿忘=わすれな」という読みがインプットされました。

ここで重要なのは、漢字二文字で「わすれな」と読ませる手法は、熟字訓(複数の漢字の組み合わせ全体にひとつの訓を当てる読み方。「大人(おとな)」「煙草(たばこ)」など)の変則形、あるいは作詞上の芸術的省略表現であるという点です。正式な辞書の見出し語として「勿忘(わすれな)」という独立した名詞が存在しているわけではありません。

山田 真由
著者

山田 真由

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