作品の舞台となったのは、兵庫県にある赤穂市民病院の脳神経外科です。2019年7月に赴任したモデル医師(当時40代)が執刀に関わった手術において、わずか1年足らずの間に計8件もの重大な医療事故が集中して発生しました。
事故の具体的な経緯は、極めて凄惨なものです。
- 腰椎手術における神経切断:70代女性の手術中、骨を削るドリル操作を誤り硬膜および脊髄神経を切断。患者は両下肢麻痺や排泄障害という重度後遺障害を負う。
- 頸椎手術での出血・麻痺:別の患者に対する頸椎の手術において、止血処置の不手際から術後に血腫が形成され、四肢麻痺などの重篤な障害が発生。
- 透析用カテーテル誤挿入事故:別の70代女性に対し、透析用カテーテルを誤って大動脈周辺に深く穿刺・挿入したことで大出血を引き起こし、患者が死亡。
短期間でこれほど重大なインシデントが連発した背景には、医師個人の技量不足だけでなく、医療安全管理体制の完全な機能不全がありました。院内では早い段階で危険性を察知した同僚医師から執刀停止の進言が出ていたにもかかわらず、病院幹部による判断が遅れ、被害が次々と拡大していった経緯が第三者検証委員会の報告書でも厳しく指弾されています。