世界中のファンが一楽ラーメンへの聖地巡礼を目指す中で、最大の転換点となったのが2014年秋の出来事でした。岸本氏が直に通った文字通りの発祥聖地である「九産大前店」が突如として看板を下ろし、ファンの間には大きな衝撃と動揺が走りました。
当時、ネット上では「作品の連載終了に合わせたのではないか」「聖地巡礼の過熱によるトラブルが原因ではないか」といった様々な憶測が飛び交いました。しかし、地元の長年の常連客や関係者の証言を丹念に追うと、一楽ラーメン九産大前店の閉店理由はそうした噂とは全く異なる、極めて現実的な地域店舗の事情によるものでした。
最大の要因は、長年厨房に立ち続けてきた店主夫妻の高齢化と体力の限界、そして入居していたテナント建物の老朽化や区画整理に伴う更新時期が重なったことです。決してネガティブなトラブルではなく、学生街の胃袋を何十年も支え抜いた店主が役目を全うし、惜しまれつつ勇退を選んだというのが真相です。
九産大前店の跡地は別の飲食店や商業テナントへと移り変わりましたが、店主が紡いだ味とスピリットは、今なお福岡県内に息づく他の暖簾分け店舗へと確かに引き継がれています。