金魚のルーツは、およそ1700年前の中国・西晋時代(西暦265〜316年)にまで遡ります。長江下流域の浙江省付近で、野生のフナ(チー/ギベリオブナの近縁種)の中から偶然生まれた赤色の変異個体が発見されたことがすべての出発点です。
当時、仏教の「不殺生」の教えに基づき、珍しい生き物を池に放して命を助ける「放生(ほうじょう)」の風習がありました。赤く変異した珍しいフナは放生池で手厚く保護され、自然淘汰されることなく命を繋ぐことになります。
その後、南宋時代(12世紀)に入ると初代皇帝・高宗が専用の鑑賞池を造らせて宮廷での飼育を奨励。明代(14〜17世紀)には陶器の鉢で上から眺める「鉢飼育」が広がり、尾ビレが三つに分かれた個体や丸みを帯びた体型の選抜交配が一気に加速しました。こうしてフナの突然変異種は、人為的な品種改良を経て世界初の愛玩用観賞魚へと姿を変えていきました。